最新アルバム「NOTHIN' BUT JAZZ」のリリースを記念して、第二回目のアドリブコンテストを開催しました。
このコンペは、レコード会社主催のオーディションとは違った趣旨を持っています。ぼくは高校卒業後、ジャズ全盛期のおしりの方で足かけ10年くらいアメリカで演奏活動をしていました。その後帰国して、今は日本を本拠地として音楽活動をしています。
日本のジャズシーンには才能溢れる魅力的なプレイヤーが大勢いますが、アメリカ育ちのぼくから見て物足りなさを感じるのが、ジャズ伝承の場が少ないことです。ぼくら世代のミュージシャンから若い世代へ、ポピュラー音楽の基礎であるジャズを伝承する場を作りたい。「勉強」や「練習」じゃなく、生き様としての音楽を肌で感じられる場を作りたい。そんな思いから立ち上げた、ミュージシャンによるミューシャンのためのコンペです。というのも、ぼく自身がアメリカのライブやセッションで生々しく、生活としてのジャズを体験したことが忘れられないからです。
前回、第一回目の開催は2011年で、70エントリーの応募がありました。今回は前回よりも多少難しい素材で、応募数がなかなか伸びなかったのですが、最終的には76のエントリーをいただきました。前回以上に個性的な応募が多く、技術の高い人も多かったのですが、その分今回は入賞者を絞り込み下記の様な結果となりました。
また今回は、模範演奏をプレイしてくれた菊地成孔さんにも審査をお願いしました。ぼく一人の趣味が優先しちゃうとどうしても偏りがちになるので、菊地さんのご参加は、応募してくれた皆さんへの公平性という点からも大正解でした。ピタリと一致した部分も、意見の分かれた部分もありましたが、最終的には納得のいく結果になったと思います。
各部門の優勝、準優勝の方には、11月、12月のライブで、「クリヤ・マコト・オールスターズ」と共演し、まさにジャズを共有する場を楽しみたいと思います。是非お誘い合わせの上、ライブへ遊びに来てください!
※クリヤ・マコトが、ご応募いただいた全動画にコメントを投稿しています。
是非ご覧ください。
【クリヤ・マコト コメント】
こちらも二度目の応募者。前回「ベストプロダクション賞」を受賞した葛西さんです。前回「深いエフェクトはあまりコンテストにふさわしくない」とコメントしたせいか、今回はエフェクトも演出もないストレートなプレイ。でも相変わらずセンスが良いです。ひとフレーズひとフレーズを大切に歌っており、ジャズのスピリットが解っているという内容でした。
【菊地成孔氏 コメント】
「泣き」のフレージングを、モーダルなクロマティック多用フレーズで繋いでおり、また、特筆したいのはリズム感で、ジャズトランペットにありがちなせっかちなノリではなく、ディープサウスのラッパー的な、粘ったフロウ(レイドバック感)がずっしりとクールで、一聴するとポップだけれども、良く聴くとクラブミュージックを経由した、非常にコンテンポラリーなスタイルであり、素晴らしいと思います。
友田ジュン 様(ピアノ)
審査コメント:昨今流行の「美形男子ピアノ」の中でもプロの最も近いラインにいると思います。音楽に大切なナルシシズムが、コンテストのエントリーであるという感じがしないぐらい強く、また嫌らしくなく、そこが頼もしいです。
優勝者、準優勝、クリヤ・マコト賞、菊地成孔賞の方には、クリヤ・マコト・オールスターズのアルバム「NOTHIN’ BUT JAZZ」リリース記念ライブのステージで、今回の課題曲をライブ出演メンバーと一緒に演奏して頂きます!
11/13(木):ビルボードライブ大阪(06-6347-5495)
出演=クリヤ・マコト(pf)、早川哲也(b)、大坂昌彦(ds)、NAOTO(vn)、SHANTI(vo)、ギラ・ジルカ(vo)、松岡 matzz 高廣(perc/Quasimodo)、矢野沙織(as)、タブゾンビ(tp/SOIL&"PIMP"SESSIONS)、元晴(as/SOIL&"PIMP"SESSIONS)
[アドリブコンテスト入賞者] 齋藤真友子(1stステージ)、持田道太郎(2stステージ)
11/14(金):名古屋ブルーノート(052-961-6311)
出演=クリヤ・マコト(pf)、早川哲也(b)、大坂昌彦(ds)、NAOTO(vn)、SHANTI(vo)、ギラ・ジルカ(vo)、矢野沙織(as)、タブゾンビ(tp/SOIL&"PIMP"SESSIONS)、元晴(as/SOIL&"PIMP"SESSIONS)
[アドリブコンテスト入賞者] 深見光明(1stステージ)、藤井トシ(2stステージ)
12/10(水):目黒ブルースアレイジャパン(03-5496-4381)
出演=クリヤ・マコト(pf)、納浩一(b)、則竹裕之(ds)、ギラ・ジルカ(vo)、松岡 matzz 高廣(perc/Quasimodo)、菊地成孔(sax)、太田剣(as)、類家心平(tp)、KOTETSU(vo)
[アドリブコンテスト入賞者] 平木LAGGY宏隆、友田ジュン、早瀬マミ
12/11(木):目黒ブルースアレイジャパン(03-5496-4381)
出演=クリヤ・マコト(pf)、鳥越啓介(b)、天倉正敬(ds)、SHANTI(vo)、タブゾンビ(tp/SOIL&"PIMP"SESSIONS)、元晴(as/SOIL&"PIMP"SESSIONS)、KOTETSU(vo)、北原雅彦(tb/ TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA)、Kubota(g/JiLL-Decoy association)
[アドリブコンテスト入賞者] 葛西玲緒、Tsuneta
宮脇翔平 様(ピアノ)
【クリヤ・マコト コメント】
技術的にはまだこれからなんだけど、エネルギーがすごくイイです。カメラアングルもナチュラルで、ネクタイをキメた心意気もOK。ノリ良く「愛」を感じるプレイに期待大です。
藤原慎太朗 様(ギター)
【菊地成孔氏 コメント】
ギタリストエントリーの中では、LAGGYさんに次いで総合力が高く、特にメンタル(クール&ホットのコントロール)が高いと思われますが、最後の着地の冒険がスリップに聴こえてしまうのが残念でした。
西村菜美 様(オカリナ)
【菊地成孔氏 コメント】
想像よりも遥かにピッチとリズムが正確で「うわーオカリナってこんなに出来るんだ」という驚きがどうしても先に立ってしまいますが、内容の完成度に甘さは無く、素晴らしいです。
Rotan 様(ピアニカ)
【クリヤ・マコト コメント】
ズラリと並んだピアニカが壮観。ソロの構築が良く、技術も高い。創意工夫に溢れ、エフェクターの演出も効果的。どんどん盛り上がってとても魅力的なプレイでした。
長田新 様(自作の笛)
【クリヤ・マコト コメント】
メッセージ付きでの応募、ありがとうございます!「ロッキーのテーマ」のコード進行をモチーフにしたファンキーな曲が、一気に和風になったのは新鮮。自作楽器だけあって技術も達者です。
光平 様(ヒチリコ=自作のバンブーサックス)
【クリヤ・マコト コメント】
第一回目のアドリブコンテストにも応募してくれた光平さん。3年前よりもさらに腕を上げました。自作の楽器はソプラノサックスを思わせる良い音で、プレイもスピリチュアルではまっています。
北床宗太郎 様(バイオリン)
【クリヤ・マコト コメント】
バイオリンらしいフレーズで、真面目な美意識に好感の持てるプレイです。今の持ち味でも既に魅力がありますが、今後は是非自分自身の殻を破って、キレや凄みを感じるプレイヤーに育って欲しいです。
イズミ トモヒデ / ヤマモト エリコ 様(ダンス)
【クリヤ・マコト コメント】
早瀬マミさんと並んで番外編の候補になった、ダンスによるエントリーです。二人での参加は彼らのみ!複数での応募がダメとはどこにも書いていませんからね。躍動感溢れる息の合ったパフォーマンスでした。
【菊地成孔氏 コメント】
IZUMIさん照明が暗すぎです(笑)。
【早瀬マミ様へのコメント】
かわいいビデオですね! 友人と、「この女性は、奥さんか、愛人か?」と議論しているうちに、私の結論として、 以下のような妄想ストーリーができあがりました……。
「この旦那は、ただの単身赴任のサラリーマンではない。挑戦者として日本タイトルマッチを戦うために、トレーニング・キャンプにでかけていたプロボクサーだ。彼は昨夜の試合で、“勝てないだろう”と言われていたが、恋人で小料理屋を始めたばかりの彼女に支えられて一念発起、きわどい判定でチャンピオンベルトを取ることができた。翌日、宿舎のホテルから彼女の家に帰る新チャンピオン。試合の直後は、いつも少しろれつが回らないのを気にしている彼のために、彼女はたいして強くもないのに料理しながらビールを飲み、ほろ酔いで“おめれとー!”と迎えたのだった。」
楽しませていただき、ありがとうございます。私は『ロッキー』の音楽も好きなのですが、この演奏もいいですね。?
残念ながら、今回優勝者へのコメントがありませんでした。そのため、最も多くのコメントが寄せられた「番外・脚本賞」早瀬マミさんの動画コメントから、最もユニークなコメントを選びベストコメント賞とさせていただきました。
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平木LAGGY宏隆 様
(ギター)
【クリヤ・マコト コメント】
2011年に開催した、第一回アドリブコンテストでも応募してくれたLAGGYさん。その時も素晴らしかったけど、さらに腕を上げました。リズムも良く技術も達者で、迷いのないスムーズなノリが実に気持ちのいいプレイです。しかも今回は、前半と後半でギターを持ち替えてくれました。共演を楽しみにしています!
【菊地成孔氏 コメント】
「コンテストあるある」というか、1人だけぶっちぎってしまっている人。という感じで、満場一致で優勝間違いないのではないでしょうか。この方よりも実力の無いプロは山ほどいると思います。